「ご、ごめん……私、今日もレジ締め……」

「チサ、今日は大事な日だもんね。わかってるよ、遠慮しないで!」


軽く肩を叩くとチサはホッとしたように笑った。


私は予定なんて何もない。

仮に前と同じように合わなくて帰りが深夜になったとしても構わない。


「……そうなると今日も……?いや、さすがに二度目はないよね」


今日がバレンタインということは、明日もバレンタインのディスプレーじゃダメだから。

たぶん蓮さんはディスプレーを外しに来る。


時間はわからないし、シャッターを閉めて作業をされていたら私は見ることができない。

偶然が二度続くなんて……滅多にない。


変に期待したり、ソワソワしたらダメ。

今日は私には関係のないバレンタイン。

だからチョコも買ってないし、作ってもいない。


私はいつもと同じように過ごすだけなんだ。