電話の相手は店長だった。


「店長、どうしたんですか!その声!」


私は電話に出て驚いた。

夕方から出勤予定だった店長が、まだ出勤してないので気には掛けていたけど……まさかガラガラ声になっているとは。


「今日、風邪ひいて……」

「声聞いたらわかります!」

「休むから……レジ締めを……」


途切れ途切れでいつ倒れてもおかしくないような声。


「わかりました!私がしますから!」

「よかった……じゃ……」


安心したように息を吐くと店長の電話は切れた。

私がレジ締めより店長の体調に不安を覚えながら受話器を置くと、チサが様子を窺いに来た。


「菜月、どうしたの?」

「あ……うん、店長が風邪引いたって」

「また!?今年になって2回目じゃない」


呆れたようにチサは言い、それからあることに気付いて申し訳なさそうに両手を合わせた。