昼間の大通りは人が多い。


すれ違う人波を避けながらデパートのショーウィンドウを覗くように見る。


「……あれ?」


傍からみたら私の目はきっと点。

真正面まで移動してよくディスプレーを見る。


真っ白なショーウィンドウ。

上からは微粒子の七色に輝く透明なラメがチラチラと舞っていてロマンチック。

その中に宝石を飾るような細くて高い真っ白な台があり、置かれているのは金のリボンをかけた赤い箱がたった一つだけ置かれていた。


壁には赤い文字で控えめに

『Happy Valentine ~Only to you~』

の文字。



「……蓮さんが言ってたのと違う……」


それでも紛れもなく蓮さんが手がけたディスプレーだと実感するのは一瞬で心を奪われるディスプレーだから。