肩をすぼめ、しょげた顔から蓮さんを見上げる。


「そっか……世の中の女性はOLである前に一人の女性か……」


どうやら蓮さんは放心状態なだけで怒っているわけではなさそう。

ゆっくりとすぼめていた肩を元に戻した。


「……ねぇ、菜月ちゃん?」


何かを思いついたのか、私に問いかけて振り向いた蓮さんは放心状態ではなくなっていて、瞳には力が宿っていた。


「バレンタイン、誰かにあげるの?」


思わぬ質問に言葉が詰まる。


「い、いえ……特に」


職場には義理チョコの習慣も無いし、今年も無縁のイベントだって決めたんだもん。


「そっかー、菜月ちゃんはいないんだ」


小刻みに頷く蓮さん。


「そ……そういう蓮さんはどうなんですか?」


蓮さんに深く入り込むから緊張しているのか、それとも答えを聞くのが恐いのか、自分で言っておきながらドキドキした。