蓮さんの思わぬ動揺っぷりが可愛らしくて小さく笑ってしまった。


「あの、今日はたまたま残業だったんです」

「わー、残業万歳だね!って俺が万歳でも菜月ちゃんは違うかー」


蓮さんも動揺したことが恥ずかしかったのか、照れくさそうにクシャリと顔を崩した。


万歳ってわけじゃないけど、近いものはある。

レジが合わなかったのも悪いことばかりじゃない、なんて思ってしまったんだから。


「蓮さんはお正月ディスプレーの片付けですか?」


ライトがついているショーウィンドウを見ると、昼間見た凧は外されていて、代わりにシンプルなデパートのマークだけがあった。


「そうだよ。今片付け終わったんだ。また1月末からバレンタインの飾りにするんだけどね。

次どうしよっかなぁ、なんて構想練ってたの」


蓮さんの声は鼻歌でも歌っているかのように弾んでいる。

本当に仕事が好きなんだ。