支払いが終わった蓮さんは店のドア前で一旦停止した。


「また来るからね。お正月ディスプレーの感想聞きに!

だからおいしいコーヒーよろしくね」


窓から降り注ぐ太陽のように温かく笑って蓮さんはオシャレな街へ消えて行った。


レジに立ったまま蓮さんがいなくなったドアをしばらく眺めているとチサが焦ったように駆け寄ってきた。


「菜月!蓮さんは!?」

「さっき帰ったよ」

「えー!メアドとか聞けなかったー!次いつ来るのかなぁ」

「クリスマス終わった後だって」

「じゃぁクリスマスは一緒に過ごせないってわけね。どうしよ。他にいい人いないかなぁ」


チサはクリスマスを一緒に過ごす相手が欲しかったのか、残念そうに肩をすくめながら仕事へ戻って行った。


まぁクリスマスを一人で過ごす寂しい気持ち、わからないでもないけど。


でも今年はなんだか楽しく過ごせそう。


雪の中、サンタが子ども達のために街へやってくる……童話のような世界が美しく表現されたディスプレーのおかげかな?