「菜月、明日もあの明るい人、蓮さんだっけ?来るんでしょ?」


閉店後。

店内の片付けをしながら傍らでレジ締めをする店長に気付かれないようにチサが聞いてきた。


「たぶん……」


口調と同じように軽い人なら挨拶みたいな、社交辞令にも似た約束なんだろうけど蓮さんは違う気がする。

ホントに現れそう。


「初め怪しい人かと思ったけど明るいし面白い人だよね。結構顔も良かったし」


チサの声が弾んでいる。

……まさか……?


「明日、私が接客していい?」

「チサ……蓮さんのこと気になってるの?」

「ちょっとね。冬って人肌恋しくて、そろそろ彼氏欲しいなぁなんて思ってたんだ」


チサは顔を隠すように俯きながらはにかんだ。


私も彼氏がいなくて冬は特に、側に誰かいたらなぁと思うことが多い。

だからその気持ちがわからないでもないけど……。