「ねぇ、真由美」
放課後、あたしたちはいつもと同じ畑道を、時計の秒針よりも遅いペースで歩いていた。たわいもない話で盛り上がりながら。
でも、校門を出る辺りから抱えていた不安が、胸の中でいっぱいになって、黙ってるのも苦痛になったから訊ねることにした。
「あたしの性格でイヤなとこ、ある?」
ひとりで帰る結衣ちゃんを見てしまったから。
同じようにはなりたくない。そう思ったら、ケンカになるようなことは、前もって対処しておきたかったの。
「何、いきなり」
急に言い出したことだから、真由美は目を丸くする。
「遠慮せずに言って。亜矢のこういうとこキライ、とかあるんだったら、直すから言って!」
仲良くなり始めの頃に、ちょっとした口ゲンカになったことはあったけれど、あたしたちはその日のうちに仲直りをした。これまでに大きいケンカをしたことは、一度もない。
だから、バラバラになった自分たちを想像して、怖くなった。あたし、真由美には嫌われたくない。
「そうだなぁ……宿題を忘れるとこ、ちょっとイヤかも。居残りとか、待たなくちゃいけないじゃん」



