体育館に集まっていた生徒たちが、一斉に外へ出る。出入り口は混み合っていて、ゆっくり周りを見渡すこともできない。

あたしは人がバラける渡り廊下で、後から来るはずの和田さんたちを待った。

一面に広がった綿菓子のような薄い雲は、風を楽しむかのように空を泳ぐ。頬が冷えるのを感じながら、それを眺めていたとき、顔の前をひらひらと小さな花びらが舞い落ちた。

校舎を囲うように植えられた、何本もの桜。この樹はいくつかつぼみを残したまま、明日、あたしたちの晴れ舞台に色を添える。

「……あ」

それらしき声が聞こえ、目を向けると和田さんたちがこっちに歩いてくるところだった。