サイン帳の用紙は、表が本人のプロフィール、裏は差出人に対するメッセージを書くように出来ている。

まだ全員揃ってはいないけれど、裏に書かれてあるメッセージを見て、あたしは小さくため息をつく。

『卒業しても元気でね』

『高校生になってもよろしく』

『いつか同窓会しよう』

当たり障りのない言葉ばかり。

そんなにみんなと親しくもなかったのだから、仕方ないとは思うけれど、これだけなのは味気ない気がする。


「野々瀬さんのサイン帳、可愛いね。これ、なんていうキャラクターなの?」

「あぁ、これは水玉ウサギ」

和田さんたちと過ごすようになって、もう1週間が経った。

「へ~……初めて見た」

「うん。あんまり知れ渡ってないから」