「別に、何もないよ。早く目が覚めたから……それだけ」
土日の2日間は、ずっとふたりのことを考えていて、この先を心配することに疲れたあたしは、昨夜、早めに寝たの。
だから、今朝は目覚まし時計が鳴る前に目が覚めてしまった。そして、金曜の朝を思い出して、不安になったから早めに家を、なんて言えるわけがない。
上履きに履き替えるのを待ってくれている真由美は、「雨でも降るんじゃない?」とからかってくる。
「ひどい」と返しながら、脱いだ靴に手を伸ばしたとき……。
「おはよう!」
結衣ちゃんが現れた。
「……」
「おはよう。すごいね、ここで3人が揃うとか」
「ほんとだぁ」
あたしが靴をなおしても、真由美はまだ、ここから動こうとしない。
もう3人になってるんだね。真由美の変化に違和感を感じた。
結衣ちゃんは、あたしが挨拶をしなかったことにも気づいていない様子。
「あ、そうそう。金曜日の帰りに言ってたアレ、ちゃんと持ってきてるから」



