キミといたくて ~AYA~


結衣ちゃんは休憩時間になると、当たり前のようにそばへくる。あたしよりも先に、真由美の席にいることもあるんだ。正直言って、気に入らない。

真由美はどう思ってるの? このまま3人でもいい、とか考えてないよね?


休憩時間、音楽室へと移動する中、真由美は今夜に放送されるTVの話題を持ち出してきた。

「もちろん見るよ。録画予約だってしてきたし」

Monsterが出演する歌番組。この話なら、結衣ちゃんも入れないはず。

「さすが亜矢。今日は絶対、見逃せないよね~」

「うん! この1週間、ずっと楽しみにしてたし」

今夜の歌番組は、特集でMonsterのデビュー当時の映像を流したり、今までの曲を全部、歌うことになっている。

本当はもっと詳しく喋りたいけれど、いまは、どんな内容をやるのか、までは話したくない。結衣ちゃんがいない放課後、この話題で盛り上がるつもりなの。

簡単に割り込んでほしくないもん。

黙って、あたしたちの話を聞いている結衣ちゃん。どのタイミングで入ろうか考えてるのかもしれない。

入らないでほしい。あたしたちの空気、壊さないで。

見ないようにしてた、結衣ちゃんの顔。あたしは真由美だけを見て、楽しそうに振る舞っていた。けれど。