発明王ショート

 成瀬はしゃがみこんで、草をむしり始めた。

ショートはその姿を見て、出目金のように目を見開いた。


「あれ? やってくれるの?」


「だって、早く終わらせて、発明しなきゃいけないでしょ? 死者と交信する機械」


 一瞬出目金のように目を丸くして、それから、ショートの顔がほころんだ。


「ありがとう……って、どこ行くの?」


 成瀬がショートの横を歩いて通り過ぎたところだった。

草むらの少し奥まで進んで、成瀬はまたしゃがみこんだ。


「今このへんで、何かが光った気がして……」


 日差しが二人のいる体育館裏に差し込み、もう一度草むらの中が光った。

成瀬は光の原因を見つけ、手にとって立ち上がった。


「指輪……」


「え?」


 成瀬が見つけたのは、指輪だった。シルバーのリングに、大きな宝石がついている。


「眞森君、これたぶん、ダイヤじゃないかな?」


「なんでそんな高価なものがこんなとこに……あれ? でもこの指輪、どっかで見た気が……」


「オイ、ショート、やってるか?」


 ショートと成瀬が声に反応して振り向くと、そこにはミスタースポーツマン、田井がいた。


「あれ? 田井じゃん。どうしたの?」


「いや、たいしたことじゃないんだけどさ、朝ここで、落し物をしたというか、なんというか」


 田井がショートから目線をそらしながら、頭を掻く。

そして、そらした視線が偶然、成瀬の手にある指輪をとらえた。


「あ、それだ!」