発明王ショート

「あのさ、成瀬さんって……もしかして、模試の成績が全国1位だったっていう、あの成瀬さん?」


「そう、理科以外の科目は全て全国1位で、総合成績でも全国1位。眞森君は理科の成績が全国1位だったんでしょ?」


 小悪魔のような笑みを浮かべていた成瀬の眉がつり上がり、突然完全体の悪魔になった。


「あなたさえいなければ、あなたさえいなければ理科も全国1位だったのに!」


「な、なんかごめんなさい」


 ショートはフライング土下座をして、少し成瀬の様子を伺ってから、さらに質問を重ねた。


「でも、そんな優等生でも遅刻するんだね」


 完全体の悪魔だった成瀬は冷静さを取り戻し、その頬が猿のお尻のように赤く染まった。


「朝起きてから部屋で勉強してたら、いつの間にかお昼の12時を過ぎてたの」


「うん、そこまでいくと、逆にバカだね」


バカと言われた天才成瀬は、猿のようにムキーっと怒り、「じゃあ眞森君はなんで遅刻したのよ」と質問をかぶせた。


「発明に夢中になって、朝の6時まで寝れなかったから、寝坊した」


「眞森君も同じようなものじゃない」


「まあいいや。じゃあ草むしり始めようか」


「私はもう終わったから」


「え?」


「ほら」と成瀬が指差した先には、雑草が5本、散らばっていた。


「……こんなのやったうちに入らないだろ!」


「しかたないでしょ! 勉強ばっかりしてるから、体力がないの! もう限界!」


「体力なさすぎだろ! まったく、しかたない。こうなったら発明品を使うか」