夕方になっても夏の暑さは止まることを知らず、体育館を蒸し風呂に変えていた。
汗臭い体育館の中では、汗臭いバスケ部と汗臭いバレー部が、精力的に汗臭く部活動を行っている。
ショートは体育館をちらりとのぞいて、汗臭さに顔をしかめてから、外側を回って体育館裏へ向かった。
「くっそー、なんで罰が放課後にあるんだよ。どうせなら授業中にしてくれればいいのに……」
ブツブツと独り言をつぶやきながら、うつむき加減で歩いていたショートは、体育館裏に着いたところではっと顔を上げた。
髪の長い美少女が、体育館裏の壁に寄りかかりながら、本を読んでいた。
ややたれ目で、ぽってりとした下唇が特徴的な彼女は、ショートが来たことに気付いて本を閉じた。
「あ、遅かったね、眞森君」
「えっと……どちらさま?」
「私は成瀬希依(ナルセ キイ)。星野先生から眞森君に伝言があるよ」
成瀬は本を鞄にしまって、25mプール1レーン分ほどの広さがある体育館裏の敷地を指差した。
「この体育館裏の雑草を、二人で全部抜きなさいだって」
ショートの口がぽっかりと開いた。
「こ、これを全部!?」
「そう、全部」
体育館裏には、膝丈ほどもある雑草がびっしりと、隙間なく広がっている。
「あれ、でもなんでぼくだけじゃなくて、ふたりなの?」
「ふふ」
成瀬が小悪魔のように不敵な笑みを浮かべた。
ショートはもしかしたら告白されるのではないかと勘違いし、期待に胸を膨らませながら答えを待った。
「それはね……私も三日連続で遅刻したから」
「ああ、なるほど」
汗臭い体育館の中では、汗臭いバスケ部と汗臭いバレー部が、精力的に汗臭く部活動を行っている。
ショートは体育館をちらりとのぞいて、汗臭さに顔をしかめてから、外側を回って体育館裏へ向かった。
「くっそー、なんで罰が放課後にあるんだよ。どうせなら授業中にしてくれればいいのに……」
ブツブツと独り言をつぶやきながら、うつむき加減で歩いていたショートは、体育館裏に着いたところではっと顔を上げた。
髪の長い美少女が、体育館裏の壁に寄りかかりながら、本を読んでいた。
ややたれ目で、ぽってりとした下唇が特徴的な彼女は、ショートが来たことに気付いて本を閉じた。
「あ、遅かったね、眞森君」
「えっと……どちらさま?」
「私は成瀬希依(ナルセ キイ)。星野先生から眞森君に伝言があるよ」
成瀬は本を鞄にしまって、25mプール1レーン分ほどの広さがある体育館裏の敷地を指差した。
「この体育館裏の雑草を、二人で全部抜きなさいだって」
ショートの口がぽっかりと開いた。
「こ、これを全部!?」
「そう、全部」
体育館裏には、膝丈ほどもある雑草がびっしりと、隙間なく広がっている。
「あれ、でもなんでぼくだけじゃなくて、ふたりなの?」
「ふふ」
成瀬が小悪魔のように不敵な笑みを浮かべた。
ショートはもしかしたら告白されるのではないかと勘違いし、期待に胸を膨らませながら答えを待った。
「それはね……私も三日連続で遅刻したから」
「ああ、なるほど」


