最後の朝の食卓。


いつも通り
笑顔の小春ちゃんだけど
ご飯をほとんど食べていない…。


『新大阪まで車で送るん
10時くらいでええかしら?』


『あ、助かります』


『えー夕方までいようよー』


食べ終わって
リビングのソファーでくつろぐ小春ちゃんが口を尖らせて言う。


『小春ったら。夕方でたら
直樹くんが家つくんが遅なるでしょ?』


『そだけどさ~』

ちぇーっ
て言う小春ちゃん。


俺は苦笑いする。



ソファーで
小春ちゃんとTVを見た。


どうでも良い会話で
ケラケラ笑う小春ちゃん。


おばさんの目を盗んで
俺は小春ちゃんの頭を
優しく撫でた。


『うにゅ~…』


猫みたいに喜ぶ
小春ちゃん。



本当に…
俺だってこのまま帰りたくない。



だけど時間はそんな時ほど
早く進む。



気付くと
もう10時になっていた。