『両想い…だけど』


俺の葛藤した意味
わかってんのかな。


『付き合う気はないよ』


俺の言葉に
小春ちゃんは止まった。


『へ…?なんでぇ?』


眉を下げて
俺を見つめる小春ちゃん。


かわいい百面相に
笑いそうになる。


ハテナが飛んでる
小春ちゃん。


やっぱり全然わかってない。


『だって俺…もうすぐ大阪離れるんだぞ?』


『だから?』


『…だから遠距離なんて無理だろ。』


『…なんで?』


『なんでって…
ほとんど会えないんだぞ。』


長く付き合ってから
離れるのとは訳が違う。


続く訳がない―…



そんな否定的な
俺の頭を…


小春ちゃんは
背伸びして

なでなでし始めた。


え…?


驚いた目をして
小春ちゃんを見ると



『柔らかくなぁれ―…
柔らかくなぁれ――』


優しい顔で俺を見つめる
小春ちゃん…


『それでずっと悲しい目
してたんやぁ…』


小春ちゃんは
天使みたいな声で言う。


『そんなに想ってくれて
ありがとぉ』


にぱっと首をかしげて
笑う小春ちゃん。


『大丈夫や、遠距離ぐらいっ』