好きなんだ―…


言った後

小春ちゃんは
目を少し大きくした。


そんな小春ちゃんの
表情を見て

俺の口元は
少しゆるんだ。



あ―あ
言っちゃったよ。

どうすんだよ。


言ったところで
もうじき離れるって状況は
変わらないのに。


気持ちを落ちつかせようと
タオルをさらに
ごしごしやる。


『きゃぶっ』

タオルの中で
もみくちゃになる
小春ちゃんが小さく叫ぶ。



…きゃぶってなんだよ(笑)


だけど
久しぶりに

小春ちゃんらしい
声を聞いた気がした。


嬉しかった。


嬉しくて
さらにごしごしやる。



タオルを取ると
小春ちゃんの髪は

もけもけに膨れていた。


『ぷは…』


眉を下げて困った顔の
小春ちゃんを見て


俺は手の甲を当てながらも
思わず笑ってしまった。


そんな俺を見て
小春ちゃんは頬を染めた。


『直樹くんが元気になったぁ』


にぱぁと笑う
小春ちゃん。


また胸が熱くなる。


…女の子的にいえば

これが胸キュンってやつ?


うわぁ 俺乙女だ(笑)



小春ちゃんを見ると

キラキラな目で
俺を見つめてる。



そんなに見られると…


初恋でもないのに

どうしたら良いか
わからなくなる。



『好きなんやったら…
早く言ってくれたら良かったのにぃ。』


小春ちゃんは
トイレを我慢する子供みたいに

モジモジと照れる。


『両想い…だぁ』


言ったあとに
きゃっ…と

また頬を染めた。