『うちなぁ、この絵が好きやねん』


『…この漫画の?』


『そう。体のラインとかめちゃくちゃ綺麗やねんよ』



小春ちゃんはようやく
俺から離れた。



『直樹くん…読んでみる?』


ニコッと笑う小春ちゃん。


目がキラキラしてる。




『いや…俺は良いよ。』



さすがに

男同士の何は見たくない…


しかも自分に似てるっていう
オマケ付き。



小春ちゃんは
ちぇっと口をすぼめる。


『太一も見てくれへんかった。
ほんまに芸術性が高いのにぃ。』


『太一くんにも見せたの?』


『そだよ』


小春ちゃんは
漫画をペラペラめくってる。



太一くん…。

憐れだ。


…多感な年頃なのに。



俺は

太一くんが小春ちゃんを
変態だと言う訳をようやく理解した。






『うち、絵画も好きやけど漫画家にもなりたいねん。』


『そうなんだ』


夢があるのは素晴らしい。


小春ちゃんはまっすぐ
俺をみる。



『直樹くんモデルにして描きたい。』



『お…俺?漫画で?』



昼にモデルって言われて
俺は絵画のモデルかと思ってた…




小春ちゃんは
置いてあるデジカメを手にした。



『色んなポーズ撮らせてほしぃ。』