私がバイオリンを弾き始めた時、翼さんがホールに入ってきた。
「さくらの為に私の見学?」
「はい」
翼さんは白い歯を見せる。
さくらの執事であって行動が大胆な翼さん。
どうせ、さくらが私のミスコンで披露するのを翼さんに調べてもらってる。
さくらは、すぐに翼さんを使う。
翼さん、よくそんなお嬢様によく着いていけるよな…。
「別に、見学する程じゃないよ」
翼さんの視線が気になったけど、私は目を瞑り、翼さんの存在を無視してバイオリンを弾くのに集中した。
完全無視していた私に飽きたらしく、翼さんはホールを出ていった。
私は、翼さんがいなくなった瞬間にバイオリンを弾くのを止めた。
