あたしの執事

「ほら、席ついてください。今日は転校生が来ています。東條愛莉さんです」


入ってきたのは……スラッとしていて、長い足。胸は私より倍もあって……髪はストレートですごく綺麗な人。



「東條愛莉です。こっちは執事の新垣晴。宜しくお願いします」



深々とお辞儀をした後、ゆっくり顔を上げているのに、サラッと髪が踊るように揺れる。



いつの間にかそんな東條さんにヤキモチを妬いていた。



私がヤキモチだけじゃ終わらないなんて……この時、誰かが思うはずもなかった。



―・―・―・―・―・―・―・―・



HRが終わり、私はすぐに大輔を廊下の角っこに連れていった。


「ねぇ……大輔は私だけっ??」


長い廊下に響き渡るばかデカイ声。誰かに聞こえるかもしれないってそんなの分かってる……。


大輔を信じてるけど……凄く心配なの。



「ココロ様っ!?何……おっしゃってるのですか!?」


執事のままの大輔。
誰もいないよ……?
今ここにいるのは……私たちだけなんだよ……?


「誰もいない……よ……?」


少しいじける私に大輔は私の頭をポンッと叩いた。



「俺にはココロだけって言ったろ?言ってなかったか?」


聞いてないよばか……。


大輔は私の視線に合わせてくれ、私を見つめた。



「じゃあもう一度言うからな?よく聞いとけよ?……俺にはココロだけだから」


その言葉を聞くと、涙がいっぱい出る。



「えっ?何で泣く!?……ったく……」


呆れた大輔は、私をギュッて抱き締めてくれた。



「大輔……」
「何がココロをこんなに心配にさせた?あの転校生が美人だったからか?」
「やっぱり美人って思ってたんだあ~……」


分かってる。
東條さんが美人だって。


だって……女でも惚れるもん。
私が男なら……確実に惚れる。


だけど……大輔が言うことないじゃん。



また泣き出す私に大輔は何かをした。



何かが唇に触れた。とても柔らかくて……優しいもの。



そっと目を開けると、耳まで真っ赤にした大輔が立っていた。