あたしの執事


「大……輔……」

私は大輔の目も見ず名前を呼んだ。


「ココロ……」


名前が呼ばれるたびに爆発しそうになる胸。

どうにかなっちゃいそうになる頭。


もう……どうにもできないよ……。


「大……好き……」
「俺も」


あれ……そういえば……大輔、いつから自分の事俺って言ってた?



もしかしてさ、自分の事私っていうのは執事の時の大輔で……


自分の事俺っていうのは私のといるの時の大輔って事?


何か……私しか知らない大輔を見ているみたいですごく嬉しかった。



「何笑ってんですか」


そう言って大輔はニヤけていた私の鼻をつまんだ。



「いたっっ」


こんな幸せ……大輔としか味わえないよね?


―・―・―・―・―・―・―・―・


私しか知らない大輔は終わり、今は執事の大輔。


あまりの変わりように仰天中の私。



「なににそんな驚いてるんですか?」



そう言って私の顔を除き込む大輔。



やっぱり……こっちの大輔も大好き。



席につくと、何かいつもと違う雰囲気だった。


「ねぇ……さくら?何かあったの?」



私は隣の席のさくらに問いかけた。
さくらは少し悲しそうな顔をしていた。



「あのね……転校生が……来るんだってぇ……」


へぇ……転校生かあ……ってぇえー!?
何で私がこんなに驚いてるかって?
だってここは……セレブが通うようなそこそこのお金の持ちが来る学校。
そんなとこに転校生なんて……めったになかった。



「しかもめっちゃ美人なんだって……いやあ!!その転校生に大輔さん取られたら……大輔も惚れたらどうしょう~」



さくらは机にゴツンと頭を乗っけた。



いやいやいや……大輔は私の。なんて言えず、私はさくらの話をスルーした。


でも……本当に……その転校生が大輔に惚れたら?


大輔がその転校生に惚れたら?


分かんないけど……勝ち目なくない?



そして……悪夢の時間が来た。