すれ違った人達の中に、あの人はいなかった。 無意識に、ふー、と息を吐いていた。 「なに、どしたの? 綾」 風穂が私を覗き込んだ。 「あ、ううん。……寒くて」 って言って、笑った。 ねぇ風穂。 あなたに話せたら、どんなに楽かと思うの。 私と、あの人とのこと。