なのに・・・


ただ涙が溢れるだけ・・・

ボロボロと、頬を伝って落ちていく。





暫くして、やっと涙が止まった。

今が、何時か分からない

ポケットから、鏡を取り出して目を確認する。

「凄い・・・」

思わず声が出るほどの、目の腫れよう。

こんな目じゃ、授業に出れないよ・・・

暫く悩んだ末、放課後に美沙に鞄を取ってきて貰う事にした。

「はぁ~」

ため息が零れて、また落ち込む。

あんな事を言われて、落ち込まない訳が無い。

でも、何であんなに先輩が怒ったのか分からない。

考えれば、考えるほど、深まる謎。

先輩はあんなに冷たくないもん。

「氷の王子様」とか、言われつつも何気に優しい先輩。

だから、そんな先輩が心の中であんな事を思っていてなんて、信じられなかった。

だからこそ、胸が苦しくて痛くて涙が出た。