春・紅茶・春

シャワーを浴びて、すぐ来たのか、髪の毛からは水がポタポタと落ちている。

濡れた真っ暗な髪が、夏の日差しにキラキラと反射していた。

「来た来た☆じゃぁ、私はこれで。」

女の人は、ニッコリしながら部屋を出て行った。

「今の…お姉さん?」

私はさり気なく、紅茶のカップを床に置いた。

正直。
この紅茶は2度と飲みたくない。

「あぁ、あの人は…。」

黒木くんは、黒木くん用だと思われる、もう1つ置いてあった紅茶を1口飲んだ。

「!!」

なんとも言えない顔をして、バタンッとドアを開けた。

「てめぇ!くそマズい紅茶煎れるな!茶葉がもったいない!」

く…黒木くんって、そんな話し方する事あるんだ…。