｢提出物？｣

終業式が終わってから、私は担任に呼び出された。

｢お前、美術の似顔絵。提出してないだろ。｣

…そうだった。
っていうか、似顔絵の事忘れてたし。

｢ほい。これ。｣

担任は１枚の紙切れを渡してきた。

｢なんすか？これ。｣

｢黒木の住所。｣

住所？
住所…。
住所!?なぜ住所!?

｢黒木の家に行って課題やってこい。｣

なんでだよ！

｢普通、黒木くんを学校に呼びません!?なんでわざわざ家に行くんですか！｣

｢アホッ！お前が勝手に飛び出してったんだろぅが！｣

うっ…。確かに。

｢でもぉ…。｣

さすがに家に行くのはどうよ…。
私、女の子だし。
高校生だし。
ピチピチだし。

｢提出しなかったら赤点だぞ。赤点って事は、夏期講習の他に補修も受けるって事なんだぞ？｣

……うぅ。夏休みがぁ…。

｢…行って書いてきます…。｣

｢期限は、明後日までだからな。｣

はぁ…。なんであの時、教室を飛び出したんだろ…。

｢ちなみに、黒木は書き終わってるからな。｣

…え？

｢後はお前だけなんだから、黒木に謝っとけよ？｣

なんで書き終わってるの？
授業始まって、私、すぐに出て行ったのに…。
書けるわけないのに…。