「暁さんてさ。」

席に座ると黒木くんが話しかけてきた。

正直。あたりにも意外でビックリした。

「何か頼まれても断れないタイプだよね。」

…え?バカにされてる…?もしかして…。

「みんなに良い顔してて、いつも一緒にいる友達の彼氏の事も。本当は好きだったんじゃないの?」

<ホントウハスキダッタンジャナイノ?>

私の中で何かが壊れる音がした。

「でも暁さんは…。」

「うるさい!」

黒木くんの話を遮って、スケッチブックを投げつけた。

お前に何がわかる。

「先生に頼まれなかったら…。あんたなんかと組んだりしない!」

教室は重い沈黙に包まれた。
頭が真っ白だった。

里桜が何かを話し掛けて来ていた気がしたが、気づかないふりをして教室を出て行った。

誰とも話したくなかった。
特に…里桜とは。