雪の中車を走らせ、昨日の事故現場に半刻ほどで着いた。


現場は何事も無かったかのような静けさに包まれており、その静けさが余計に不気味に感じた。

それに、どうやらそう感じたのは私だけではないらしい。
先程から涼太が一言も喋らなくなった。

ただじっと周りを見つめ、その眼差しに普段の馬鹿馬鹿しさは微塵も無い。


「なあ大輔、お前昨日どの辺りから撮ったんだ?」

不意な問いに少し戸惑う。


「え?ああ、手前の川岸辺りに砂利道があるだろう。そこからだ。警察が居たから近くからは撮れなかった。」


「そうか。いや、どうも納得いかない事があってな…」


「何か分かったのか?」


「いや、何も分からない。情報か少なすぎる。ただ車のブレーキ痕が歪んでいるのが気になっただけだ。」


さすがに鋭い。

「俺もおかしいと思ったんだ。轢き逃げ考えるような奴がわざわざブレーキを踏むのか?」


「可能性が無いわけでもない。限りなくゼロに近いがな。」



ブレーキ痕と周囲の状況をフィルムに収め、私達は辺りを少し廻ることにした。
「何か取りこぼしがあるかもしれない。」


そう言い出したのは
涼太だった。