そしてやっぱり私は真紘には逆らえない。


「……わーかったよ。その代わり単位落としても知らないからね」
「柚葉も一緒に休んでるんだから留年するなら一緒に留年」
「性格悪っ!」

 睨みきかせても効果はないってわかってるから、私は諦めて体操着の鞄を置いてお財布をポケットに突っ込んだ。自販でジュース買ってどっかで飲みながら時間潰したらいいや。

「なんか柚葉体調悪そうだし、持久走なんて無理かなーっていう俺なりの優しい配慮なんだから文句言うなって」
「持久走だったの!? なんでもっと早く言わないのさ!!」

 それなら休まなかったのに! と今度こそ睨み付けた私の頭をポンポンと叩いた真紘は「どうせ補習なら1人で走るより2人で走った方が楽しいじゃん」と意味のわからない言い訳をして鞄を持ち上げた。

「え、ちょっと。なに帰る気満々なわけ? 登校してからまだ20分しか経ってないんだけど」
「まぁまぁ。俺、今日行きたい所あるんだよね。付き合え?」


 信じらんない。

 言葉を失う私の鞄をさらって先に歩き出した真紘は鼻歌でも歌いそうなくらい機嫌がいい。そんなに面倒くさかったのか、持久走。