『えっ、ミチ…俺のことからかってないよな?』
でも翔は、そんなあたしの言葉が信じられないみたいで。
『からかってないよ!?超真剣に言ってんだけど』
と、あたしがそう言うと…
なんだかガチガチに緊張してるのか、翔は『マジかよ…』なんて言いながら黙りこんだ。
そして―――
隣同士に座るあたし達の間にはシーンとした空気が流れていき。
夏の虫の鳴き声だけが、そこには静かに響いていて。
だけど、
何も言葉は交わさなくても…
隣に座っているだけで、翔の気持ちが伝わってきたんだ。
そして
何も言わなくても……
あたしの気持ちは翔に伝わっているような、そんな気もした。



