『ねぇタク。タクの夢は何?』




そしてそんな俺の気持ちなんて、全然気付いてもないマナは俺にまで夢は何?とか質問してきたから。





『んー?夢なんかねーよ。俺んちただの町の小さな電気屋なのにさ、親父は俺に継がせる気満々だし。だから嫌でも継がなきゃなんねーって感じで。夢なんか語っても意味ないっつーか』




俺は瞳を閉じたまま…淡々とそう答えた。





『でもさ、夢、あったでしょ?』


『えっ?』


『タク、なりたいものなかったの?』





でも、マナにそう言われた時……


なんだか忘れかけていた何かが、頭の中にゆっくりと蘇ってきた。




なりたかったもの…か…。




『そりゃあ、あったよ』


『えっ!何なに?教えてよぉ』


『また今度な』




そして俺がそう答えたら、

マナは『つまんなーい』と本当につまらなそうな声を出して。





『教えてくれたっていいじゃん、ケチ!』




そう言って…

なんだかスネたような言葉を口にした。