恋色オレンジ〜夕焼け色の恋〜




そして翌日。

あれからずっと何だかモヤモヤしていたあたしは午前中の授業がずっとうわの空で。


「はぁっ」



朝から何回ついてんだってくらい、ため息ばかりがこぼれていた。



だけど…



「ミチ!」



お昼休み。

いきなり聞こえてきたその声に、うつむいていたあたしは驚いて顔を上げた。


「ちょっと出てきて」



そして教室のドアからそう言って顔を出す翔の姿を見つけると急いで教室を飛び出した。




「アハハハッ!」



賑やかなお昼休みの廊下。


何人かの生徒たちが近くでワイワイおしゃべりをして笑っていた。



「翔?」


そして、


廊下の窓から外をボーッと眺めていた翔の隣に立つと。



『つーかお前、絶対切んなよ』


『んっ?髪の毛のこと?』


『おー。あいつ丸顔のミチのこと何も分かってねーくせに短くしろとか言ってさ』


『ハハッ。悪かったわね、丸顔で』




でもなんかおかしくて。


気付いたらあたしは笑っちゃってた。



だってさぁ。



あたしが丸顔ってこと気にしてるの、翔は覚えてたんだなぁって思って。




確か昨年の暑い夏。



『髪長いの暑くないの?』

『だって長いと丸顔カバーできるじゃん』

『あ!そういうことか』




って。


そんな話をしたことを、翔はちゃんと覚えてくれてたんだなって。



なんか素直に嬉しかったんだ。