恋色オレンジ〜夕焼け色の恋〜

『あいつ、牧野だっけ?』

そう思っていたのに、翔の口からいきなり出てきたのは牧野の話だった。



『あいつ、あれから何か言ってた?』


『えっ?あぁ…別に翔のことは何も言ってなかったけど』


『俺のことは言ってなかったけど?何?何か言ってたわけ?』


『うーん…何かよくわかんないけど。デート…しようって』


『えーーっ⁉』
『マジかよミチ‼』
『牧野ってどんな奴だっけ⁉』





答えた瞬間。

マナ達からの質問責めが始まった。



『えーーっ、で、どうするの⁉』
『するのか!?デート』
『もしかしてもう約束しちゃったとか⁉』


キャーキャー騒ぐマナ達の声に、何だか笑えてきて。



『ちょっとみんな盛り上がりすぎだってば!』


笑いながら、マナの肩をポンと軽く押した。



だけど…


『ごめん、俺帰るわ』



えっ?


『翔⁉』

『何だよ、いきなり』


何故か突然、翔は立ち上がって。


『ごめん、すっげー腹痛い』


そう言って、自転車までスタスタと歩いていき、足早に帰っていった。