…視えるって言ったよね。今。


「よ、陽ちゃん!そんな事言わないでっていつも言ってるじゃない!しかもこんな所で!」


あさかちゃんが本気で泣き始めちゃったあたり、本当だ。


『だってあーちゃん、教えてあげなきゃこのお兄さんが可哀そうだよ。

って事なんでお祓い行くか、ちゃんと元カノさんと話し合った方がいいですよ。

あと、さっきもの凄く空気がマズい所があったから少し清めた方がいいかも。放っておくと後々怪我とか病気しちゃう人が出てくるかも知れないですから。』


一通りアドバイスを終えると何事もなかったかのようにスタスタ歩き出す陽ちゃん。

お兄さんも茫然と立ち尽くしてる。血糊べったりで私にはお兄さんかどうかわかんないけど。


『柚木ちゃんはさっきの何か引きずるような音気にしなくて大丈夫だからね。

あ、あーちゃん飴なくなっちゃったからもう1個頂戴。あたしお腹すいちゃった。』


鼻歌を歌いながら飴を口に入れてる。

さっきチラッと見えちゃったスタッフさんたちは今の出来事に怖がってしまったらしくて誰も出てこない…。誰だって「憑いてる」なんて言われたくないもんね…。

てか、さっきの本物だったんだ…。本物が出るって本当だったんだね…。

今更ながら背筋がゾッとした。


それにしても…

お化け屋敷のスタッフを怖がらせる陽ちゃんって…。


「パー」end