2035……
2035………
上がってすぐのところにあるかと思ったら、意外と奥のほうにあった。
「あ、ここだ……!」
私は、緊張を隠せない。
麗がどうなっているのか不安だからだ。
コンコン
「…どうぞ」
答えたのは、女の人の声だった。
麗のお母さんだろうか。
ガラガラガラガラ
「失礼します」
入ってみると、そこには綺麗な女の人が座っていた。
麗は…寝ているようだ。
「…こんにちは。あの…私、春岡学園で野球部のマネージャーをやらせて頂いてる、妃りくです」
「……りくちゃん…?」
「……え…?あ…はい…」
「りくにちゃんって、あのりくちゃん?!」
あの、りくちゃん……?
「久しぶりね〜、もう女の子らしくなっちゃって〜。本当、麗が惚れるのも無理もないね〜」
「…?」
私は、キョトンとした顔で、女の人を見つめる。
「あらやだ。覚えてないんだっけ…?そーだ…いつだか、麗がそんなこと言ってたような……」
「…ぇと……すみません…」
「ううん。いいのよ」
「あの…つかぬ事をお聞きしますが……れ…美川君の…お母様ですよね…?」


