すっかり日も暮れた午後7時。
夕食のさばの味噌煮と漬物、ご飯を一通り食べ終わったボクは、もう一度部屋の整理をしていた。
よくよく考えると、寝る場所がなかったのだ。
なんとか寝るスペースだけは確保しておきたい。
30分ほどで寝るスペースは何とか確保。
良かった、と思いながら一息ついていると、隣の部屋のドアが開く音がした。

(あ、隣の部屋の人帰ってきたんや)

「あぁ〜つっかれた〜!」

 男の人のようだ。
かなり野太い声。
もしかして、工事現場関係の人か何かかな?
 ボクはちょっと緊張した。
なんせ根っからの文系で、運動は苦手で体育会系のノリも苦手だったから。

「ちょっと挨拶しにくいかなぁ……」

 さらにその後、ドサッ!と荷物を置く音がして、ズン、とその人が座ったらしい音も聞こえた。
かなり体格が良い人かもしれない。
「あ〜どうしよう……。挨拶遅れると余計に怖いかも……」
 どうしようか迷っているうちに、ふと気づいた。
「そうや! あの隙間から見えるかも……」
 ボクは昼間見た隙間から、東隣の部屋を覗き込んで凍りついた。
 180センチはあるだろう、大きな男の人がドッシリと座り込んでいたのだ。
「うっわ……」
 それっきり、ボクはその人の体を見つめっぱなしだった。
 20代前半だろうか。
まだ肌は若々しい艶がある。
髪型は坊主刈り。
二重で鼻筋も通っている、いわゆるイケメンだ。
卵形の顔。
ヒゲを生やしているが、よく似合っている。
まだ花冷えすることもある4月だ。
服装はトレーナーにジーンズだが、明らかに体格の良さを物語るのは胸の辺り。
トレーナーをはち切れんばかりに膨れ上がった胸板は、恐ろしいまでの存在感があった。
「……すげぇ」 今までに見たことがない男の人。
なぜかボクはドキドキしていた。
 しかし、男の人は何だか落ち着きがない。
そのうち、ニヤニヤと笑い出した。
「やっぱ、抜いとかんと落ち着かんなぁ」

 そういうと、男の人は股間を大きな手で揉み出したのだ!