入学式が始まった。
でも、ボクは今朝の出来事が忘れられず、ずっと式典の間はボーッとしてしまっていた。
「ふつう」だとあり得ない。
男とキスをして、男と抱き合って、それでいて男しか持っていないものが興奮するなんて……。
でもその「ふつうでない」をボクはどうやらふつうだと認識してしまっているのだろうか。
(いやいやいや! ありえへん、やっぱそんなこと!)
ボクは首を振ってやっぱり否定するしかなかった。
桜がきれいに咲いている北摂津大学。
ボクが住んでいた町には桜の木も少なかったので、こんなに桜がたくさん咲いている道を歩くのは本当に初めてだった。
しかし、そんなキレイだなという感傷に浸っていられるほど、構内は平穏ではなかった。
ものすごい数の先輩が立っていて、クラブやサークル活動への勧誘が強烈なのだ。
新入生はみんな圧倒され、オロオロしている。
特に、スポーツ系のクラブ活動は半ば強引に新入生を連れて行ってしまっている。
「なぁなぁ、君も新入生やろ?」
「へっ?」
後ろを振り向くと、野球部っぽい人たちが僕を囲んでいた。
「うんうん、野球に向いてる体しとんな」
「走者になったらきっとえぇ動きできるで」
(ち、ちょ、なに勝手に言ってるんだよ……)
身長はボクと大して変わらないが、さすが運動部。
体格は皆、ガッシリしている。
このままでは恐らく、強引に連れて行かれるだろう。
だからといって断る勇気もない。
このまま惰性で連れて行かれそうになったとき、声が聞こえた。
でも、ボクは今朝の出来事が忘れられず、ずっと式典の間はボーッとしてしまっていた。
「ふつう」だとあり得ない。
男とキスをして、男と抱き合って、それでいて男しか持っていないものが興奮するなんて……。
でもその「ふつうでない」をボクはどうやらふつうだと認識してしまっているのだろうか。
(いやいやいや! ありえへん、やっぱそんなこと!)
ボクは首を振ってやっぱり否定するしかなかった。
桜がきれいに咲いている北摂津大学。
ボクが住んでいた町には桜の木も少なかったので、こんなに桜がたくさん咲いている道を歩くのは本当に初めてだった。
しかし、そんなキレイだなという感傷に浸っていられるほど、構内は平穏ではなかった。
ものすごい数の先輩が立っていて、クラブやサークル活動への勧誘が強烈なのだ。
新入生はみんな圧倒され、オロオロしている。
特に、スポーツ系のクラブ活動は半ば強引に新入生を連れて行ってしまっている。
「なぁなぁ、君も新入生やろ?」
「へっ?」
後ろを振り向くと、野球部っぽい人たちが僕を囲んでいた。
「うんうん、野球に向いてる体しとんな」
「走者になったらきっとえぇ動きできるで」
(ち、ちょ、なに勝手に言ってるんだよ……)
身長はボクと大して変わらないが、さすが運動部。
体格は皆、ガッシリしている。
このままでは恐らく、強引に連れて行かれるだろう。
だからといって断る勇気もない。
このまま惰性で連れて行かれそうになったとき、声が聞こえた。

