「Love Step」バレンタイン過去編

杏梨は先ほど見たチョコレートの前にいた。



それを店員に注文した時、後ろでこそこそ話す女の子の声がした。



「あの子、見て~可愛いよ」



「ほんとだ~ 可愛い男の子、でも自分でチョコ買ってるんじゃない?」



「好きな男の子にあげるのかもよ?」



「そんな事ないよ きっと彼女にだよ 最近そういう男の子、多いんでしょ?」



杏梨は心の中でため息を吐いた。



そう言われるのは慣れてしまっていた。



ゆきちゃんと一緒にいる時に言われるのが嫌だ。



去年のクリスマスの時も酷い事を言われたけど、ゆきちゃんが気にするなって言ってくれた。



それからは自分ひとりの時は気にならなくなった。



「杏梨っ!」


香澄が呼んだ。



「香澄ちゃん!」


杏梨が言うと、



「やば~ 女の子だった」


などと聞こえてきた。



「チョコ買えた?」



「うん♪」


杏梨は買ったチョコレートの紙袋をかかげてみせる。



「じゃあ、マックへ行こうよ お腹空いちゃった」


香澄がお腹を押さえて言った。