「Love Step」バレンタイン過去編

行ってしまうとわたしは携帯電話に登録されている香澄ちゃんの電話番号を探す。



探すと言っても、わたしの電話帳の中はさっぱりしたものだ。



ママと春樹おじさん、ゆずるさんにゆきちゃん、あとは女医さんのいる近くの病院の番号くらいだ。



香澄ちゃんは彼氏にあげるチョコレートをこれから買いに行く所だった。



『杏梨も一緒に行かない?』



「え……」



『チョコってたくさんあるでしょ?迷っちゃうからさ~ お願いっ!』



ママにはゆきちゃんにチョコをあげないって言ったけれど、本当は迷っていた。



今日渡せるか分からないけれど、買っておいて方が良いのかもしれない。



家が近いので香澄ちゃんが迎えに来てくれる事になった。



ブルーのトレーナーにダボッとしたジーンズ、上に黒のダッフルコートを着れば出かける仕度は終わり。



あ、メンタームリップはかかせない。



鏡に向かってピンク色の唇にメンタームリップを塗った。



こんな男の子みたいなわたしからもらっても迷惑かも……。



ママの手前、お返しは必ずくれるから、考えるだけでも大変だろう……。



消極的なわたしがいる。



ゆきちゃんは本当の妹のように優しく接してくれる。



去年のクリスマスの時も優しかったな。



香澄ちゃんが風邪を引いて来られなくなった時、ゆきちゃんは来てくれた。



バイクでイルミネーションを見に行って……ペンダントをくれた。



あのペンダントはまだ一度もつけた事がなく、机の引き出しの中で眠っている。