私達をカップルだと思ってる仲居さんが話を進めていく。

『遠い所から来てお疲れでしょうから、温泉に入られたらいかがですか?お部屋の温泉のほかにも混浴が御座います。そちらもオススメですよ。』


オススメですよって…

違うんだけどなぁ。でもカップルじゃないって言って変な想像されてもやだし、ここは大人しくカップルってことにしとこう。


苦笑いを浮かべる私に、営業スマイルの仲居さんが続ける。


『本日の御夕飯はお部屋にてお召し上がり頂きますが、何時に御用意致しましょう?』


うーん、どうしよっかな。ちょっとゆっくりしてから食べたいなぁ。


『七時頃にして下さい。少しゆっくりしたいんで。』


さっきまで騒いでた充が、いきなり話に入ってきてビックリ。それに私の思ってたことと同じ事を考えてたみたいで、それにもビックリ。



『かしこまりました。七時頃御夕飯の準備をさせていただきます。御時間までどうぞごゆっくりお過ごし下さいませ。失礼致します。』


仲居さんが出て行くと二人っきり。


『砂羽温泉入りに行こうよ。混浴。』


仲居さんの話なんか聞いてないと思っていたのしっかり聞いていたのね。
しかもニヤニヤしてキモイ。


「やだ。充のスケベ。」


『男はみんなスケベなの。
でも、温泉早く入りたい。混浴じゃなくていいから行こうよ。
で、その後はやっぱり卓球じゃん。』


「いやだ。卓球したくない。」

なにが悲しくて温泉入った後に汗かかなくちゃいけないのよ。それに卓球って高校の授業でしかやったことないもん。


『ん〜じゃー、散歩にでも行く?』


「散歩なら行く。」


浴衣着て散歩って温泉ならではだよね。まぁ卓球もそうなんだけど。でも連れて歩くのが充だよ。なんか自慢じゃない?黙ってれば格好いいから。黙ってれば、ねっ。



『決まり。温泉行こ。』



さっさと用意して一人で出てっちゃった。


もー、少しは待っててよ。場所わかんないんだから。

って、充は温泉の場所知ってんのかな?