駅で切符を買って、改札を抜けようとしてると前から来る男の人と目が合った。


「あっ、充何してんの?」


『おお、砂羽じゃん。お前こそ何してんだよ。そんな大っきな鞄持って。』


「ん、今から温泉に行ってこようと思って。」


『いいなぁ〜。誰と行くんだ?』


うわぁ〜、痛いとこついてくる。


「独りでだよ。一人旅。」


顔引きつってないよね。
笑って言えてるよね。


『マジで?いいなぁ。
なあ、俺も行っちゃだめ?』


はあ?

予想もしてない話にビックリなんですけど。


『だめか?』


そんなしょんぼりした顔しないでよ。私が悪いことしてるみたいじゃん。


「しょうがないなぁ。もう行くけど、荷物どうすんの?」


『別に服はこのままで良いし、パンツはどっかで買って?』


えっ?買って?


「私に買えって言ってんの?」

うんって、そんなスマイルされても…


まっ、いっか。
独りより楽しいだろうし、充だしね。


「よし。お姉さんがなんでも買ってやる。私についてこい。」


さっきまでの気持ちが嘘のように晴れた。

楽しい旅行になりそう。