『じゃーね、砂羽に充。ダーリンが迎えに来たから帰るね。』
そう言って、帰る美香が幸せそうでうらやましかった。


何だか黒澤さんに会いたくなっちゃった。

声が聞きたくなった。


充が席を外した時に、思わず黒澤さんの携帯を鳴らした。


少しでも良いから声が聞きたいなぁ。


でも、何コール鳴らしても、繋がる様子のない携帯に不安が大きくなっていく。


『誰にかけてんだ?』

充が帰って来てるのにも気がつかなかった。


へへへと笑うしか無かった私。


『砂羽、何かあったのか?』


どうして?

「別に何もないよ。」

何で充には分かるの?
お願いだからそれ以上聞かないで。


『何もないって表情じゃないだろ。それにそんなに痩せて…、イヤ、オマエのはやつれたって感じだよな。何があったんだよ。俺には相談出来ないようなことなのか?』


何でだろう?

充には何でも話せたのに、何故だか黒澤さんとの事は話せない。

話したくない。


どうしてそう思ったのか分からなかった。





今思えば、私はこの時にはもう充の事が好きだったのかもしれない。