『どうしたの、あなた?』


後ろからかかる声に、ハッとして振り返った黒澤さん。




『アキがこのお姉さんにぶつかっちゃたんだ。』


このお姉さん?

まるで知らない人みたいね。
なんだか寂しいよ…。


その人達には気を使うのに、
私のことはお構いなしなんだ。



『まぁ、すいませんでした。
ほらアキ、泣いてないでお姉さんにゴメンナサイしなくちゃ。そんなんじゃお姉ちゃんになれないよ。赤ちゃんに笑われちゃう。』


そんな言葉を聞いて、涙をこらえて『ごめんちゃい』なんて言われたら、誰だって許しちゃう。


「大丈夫よ。お姉ちゃんこそゴメンね。」


そう笑顔で返すと、


『アキちゃんねぇ〜、もうすぐお姉ちゃんなんだよ。妹が出来るの。』


子供には罪はない。

こんな可愛い笑顔の子を泣かせることなんて私には出来ない。


「そっか、アキちゃんお姉ちゃんなんだぁ。

おめでとうございます。何ヶ月何ですか?」


『ありがとう。今2ヶ月になったとこ。実は昨日分かったのよ。』


幸せそうな顔。
何も知らず、愛されてると思ってられるなんて本当に幸せだよね。



この人が私に何回愛を囁いたかも知らないお気楽な人。


憎む相手が違うのは分かってる。


分かってるけど…


やっぱりムカツク。


「へぇ〜、そうなんですか。じゃあ旦那さんもさぞかし喜んだんじゃないですか?」


そんな事有るわけ無い。


そう信じてる。

イヤ、信じてた…。