『…ねぇ

何で私の笑顔が嘘だってわかったの?』


「あぁ」

彼は ふっと笑うと


「さぁ? 何でだろうね」

と言った。



『教えてくれてもいいじゃん』


頬を膨らましてみせる。



「…何で一条さんはそうやって(嘘の笑顔で)笑うの?」



えっ…



逆に質問されてしまい戸惑った。


私がつくり笑う理由…



誰にも言ったことなかったけど


高階君になら話してもいい気がした。



まぁ 皆は私の笑顔が偽物だって気づきもしないから、話す以前の問題なんだけどねι




それから

私はぽつりぽつりと話し出した。




『私これでも一応社長令嬢でさ
昔からパーティーとかで笑顔振りまくように育てられてきたんだよね

そうしてれば誰も文句なんか言ってこなかったし 私が周りに褒められれば親の機嫌も良かったから


高階君は何で私の笑顔のことわかったの?』



「あぁ

俺の周りって嘘の笑顔ばっかだったから」


えっ…



苦笑気味にそういう彼を見て、何だかそれ以上聞けない気がして 口を閉ざした。


外はすっかり暗くなくなっている。





ぼーっと外を眺めていると



「もう遅いから帰ろう」


と言われ、頷いた。




それから高階君は家まで送ってくれた。


そして



「無理して笑わなくても良いんじゃね?」



と言って帰っていった。