体が勝手に小刻みに震える。
ポンと誰かが肩を叩いた。はっとして顔を上げると、さっきの中田という男だった。
「ごめんね、待たせちゃって。…どうしたの?真っ青だよ。大丈夫?」
「あ…う、うん。大丈夫。…話って何?」
「ちょっと、あっちに行こう。」
体育館の側に藤棚があって、そこへ行くとくるりと振り返った。
「…君、最近明るくなったよね。以前はこう…暗い感じだったんだけど。それに派手な化粧してて、近寄り難いイメージで話し掛けづらかったんだ。」
「何が言いたいの?」
「いや…特に言いたいっていうか…その…小さい時、大分の田舎にいたことない?幼稚園ぐらいの時。
夏に近所の子供たちと一緒に、遊ばなかったかと思って。」

