鍵をかけると、「ほら。」と言って、背中を向けてしゃがんだ。
また、吸い寄せられるように背中にしがみつくと、彼はゆっくり立ち上がって自宅に向かった。
「狭いけど我慢して。」
本当に狭い。2Kのアパートで、テレビと小さな炬燵と整理箪笥があるだけだった。
整理箪笥の上には、男の人と女の人の仲良よさそうな写真と、その前にはコップに水を入れて供えてある。
彼は炬燵を寄せて、布団を敷いてくれた。
「悪いけど布団これしかないんだ。それと、これに着替えるといいよ。」
とスエットを出してくれた。
「外にいるから。」
と部屋を出ると、
パタン…
扉の閉まる音がした。

