"顔が赤かった"
あの時確かに。
ちょっと一瞬、少しだけ彼との事を思い出したのも事実。
高校の先輩。
初めての彼氏。
放課後一緒に帰った。
手を繋いでドキドキした。
そして触れるだけのキス。
子供からちょっとだけ脱皮したようなかわいい恋だった。
「何考えてるの?」
今度は怒りを露わにしたような低い声にブルッと体が震える。
「何で違うヤツの事考えるんだよ。オレの事を考えてくれよ!」
葵ちゃんは誤解してるのかもしれない。
私があの女子高生にヤキモチ焼いたみたいに、もしかして葵ちゃんもイヤだったの?
そう考えたら、余計に愛しさが込み上げてきて、
「葵ちゃんが好き。大好き。大好きだよ」
もっともっとくっ付いた。
私だけを感じて。
不安になんかならないで?