エレベーターを降りて自分の部屋の前まで来ると、ドアノブに小さな袋が掛かっていた。
恐る恐る中を覗いてみると…、
え?
中には。
私たちが商品化を進めて来た、今日御披露目されたばかりの例の香水瓶が入っていた。
中には小さく折り畳んだメモ用紙が一緒に入っていて。
『春花ちゃん、これオレがデザインしたんだ。イメージは春花ちゃんなんだよ。まだ試作品だけど、第一号はキミに貰って欲しい。怒らせてごめんね。葵浩介』
葵ちゃんが、葵浩介なの?
じゃあ、あの人はお姉さんなの?
私の案を形にしてくれたのは、葵ちゃんだったの?
ごめん。ごめんなさい。誤解してて、酷い事言って…
"ひっく…"
"ひっく…"
"ふあああぁん"
ポロポロ
ポロポロポロポロと、
出だした後悔の涙は止まらなくて。
そんなんだから、あなたが近くで、ずっとその姿を見ていた事に全く気付いてなかったんだ。

