それは。
突然の事だった。

"とんとんとん"
"とんとんとん"

「春花ちゃ~ん。ただいまぁ。帰って来れたよ。開けてぇ」

無視しようと思った。

"どんどん どん!!"

「春花ちゃ~ん、寂しくて拗ねちゃったのぉ。早く入れてよぉ。春花ちゃん中に入りたいよぉ。だって、気持ち良くなりた…」

ダメだ。
このセクハラ発言に我慢が出来ず、またもやドアを開けてしまった。

「春花ちゃ~ん。ただいま。オレ頑張って来たよ。良い子良い子してぇ」

彼は何も変わってなかった。会わなかった1ヶ月前と殆ど変わってない彼の姿に。

私の感情だけが、隣人→好き→失恋と、かなりの振り幅で揺れ動いていた事を痛感する。

会えて嬉しいのに、気持ちが叶わなくても、友人関係は続けられるのに、あのキレイな彼女の姿が脳裏をチラついて…


ポロポロ…
ポロポロと

涙が止まらなくなった。