「こんにちはー」
大きい玄関を開けると、少し騒がしい声が聞こえてきた。
「母さん、落ち着いて」
「政人さん、俺らも探してきます!」
「ああ、頼むよ」
そんなやり取りが聞こえて、ドアが開く。
すると玄関で立ちっぱなしの私たちに気づく男子学生。
「あ!光希!!」
「えっ!?」
学生の一人がみつきの名前を呼び、ドアの奥から誰かの驚く声がした。
「え…あの……?」
もしかしてみつきの事で大騒ぎになってる感じなの?
戸惑う私を男子学生が睨んできた。
「あんたら光希をつれ回してたのか!?」
えっ…まさか疑われてる!?
「いや、私たちは…」
「言い訳すんな!」
…はい?
あまりに一方的すぎる物言いに困っていると…
「やーめーてぇー!!うたにひどいこと言うなっ!!」
今まで黙っていたみつきが怒鳴った。
私の手をぎゅっと力一杯握っている。
「うたは…うたは俺をここまでつれてきてくれたんだ!!」
その一言でしんと静まり返る寮内。
そこに少し年老いた声が聞こえた。
「光希…あんた母さんは…一緒じゃないの?」
奥のドアから男の人に支えられた女性が姿を現した。
「おばあちゃん!」
みつきはその人にそう呼び掛けた。
そっか…おばあちゃんか…。

